望月国際行政書士事務所:mochizuki international gyoseishoshi laqyer office お問合せ
 
 

 

1.はじめに

  著作権は、著作物を創作した時点で、自然発生的に発生しますから、権利取得のための登録制度と言うものはありません。これは世界中、殆どの国でそのように決められている国際ルールでもあります。

 ただ権利の保護をより充分に図るのと、商業上の扱いからも、いくつかの種類の登録制度があります。わが国ではプログラムに関する登録は「財団法人ソフトウェア情報センター」に行い、これ以外は「文化庁」に登録します。私たち行政書士は、いずれについても登録作業を本人の代わりに代理して行っております。

 また東京都行政書士会では、著作権相談センターを開設しており、所定の講習を受けた後に、試験を実施し合格した行政書士について、「著作権相談員」として登録しております。これは http://www.chosakuken.soudancenter.com の中に「著作権相談員」と言うページがありますから、確認してみてください。ちなみに私は「荒川支部」の箇所に登録されています。

また東京都行政書士会では、著作権につきまして、無料でパンフレットを配布しております。私も何十部か持っておりますので、ご希望があればパンフレットをお分けします。 (なお返信用の切手はご負担願います。)

2.著作権の種類

 著作権は (1) 著作者の権利  と (2) 著作隣接権  とに大きく分けられています。

詳細は省きますが、著作者の権利とは、「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」のような人格権 的なものと、「複製権」「上映権」「上演・演奏権」や「展示権」「譲渡権」「貸与権」「二次的著作物の創作権」など、まだまだありますが、所謂 財産権 的なもので構成されます。

 一方著作隣接権とは、

実演家の「実演家人格権」「録音権・録画権」「放送権」「有線放送権」などまだまだありますが、これらと、レコード製作者の「複製権」「送信可能化権」「レコードの譲渡権」など、更には放送事業者の「複製権」「再放送権」「有線放送権」など、まだまだたくさんあり、省略しますが、これらの権利で構成されます。

およそのイメージをつかんで頂けると思います。

3.著作物

 著作権法では、著作物の種類を例示しております。

 言語の著作物 ; 公演、論文、レポート、脚本など

 音楽の著作物  ; 樂曲、樂曲を伴う歌詞

 舞踏 ,無言劇の著作物 ; 日本舞踏、ダンス、パントマイムの振り付けなど

 美術の著作物  ; 絵画、版画、彫刻など

 建築の著作物

 地図、図形の著作物

 映画の著作物

 写真の著作物

 プログラムの著作物

 等々あり詳細は省略します。

4.保護期間

 著作権の保護期間は、大きく 2つに分かれます。即ち

 (1)著作者の人格権については、著作者の生存中、並びにその死後においては

    原則として著作者の人格権を侵害するような行為をしてはならない、とされて

    おります。

 (2)また財産権としての著作権については、原則として

    創作の時から、著作者の死後 50年間

    例外として、無名、変名の著作物や、団体名義のもの、映画の著作物について

    は、公表後 50年間

 ただし映画の著作物は、平成 16年1月1日以降は、公表後70年間、またこ

れは、創作後 70年以内に公表されなかった場合は、創作後70年間となって

おります。

 (3)保護期間の計算方法については、

    すべての期間は、死亡、公表、創作をした年の「翌年の 1月1日」から起算する

    ことになっております。

    つまり 50年後であれば、50年後の12月31日が期間の満了日であります。

    このあたりは、民法などの期間の計算方法とは、かなり異なっております。

5.登録

 著作権で、私達が登録するものは、

実名登録 これは原則として著作者が申請するものです。

無名や、変名で公表した年月日を発生年月日として記載します。

当然のことながら、法人が著作者の場合には、実名登録はできません。

第一発行(公表)年月日登録  これは著作権者や、発行者が申請するものです。

第一発行の年月日あるいは、第一公表の年月日を記載して、登録します。

創作年月日の登録  これはプログラムの著作物の著作者が、プログラムの創作がされた年月日を登録します。

著作権・著作隣接権の移転登録  これは、不動産などの権利の譲渡と同様に

考えて下さい。譲渡や、質権設定ができますが、これら権利の変動は、登録が第三者対抗要件です。

出版権の設定等の登録  これは、登録権利者としては出版権者、登録義務者としては複製権者となります。つまり共同申請が原則であります。

なお、これらの中で、コンピュータプログラム著作物のみ、(財)ソフトウエア情報センターに登録します。「創作年月日」「第一発行(公表)年月日」「実名の登録」「著作権譲渡の登録」「著作権の譲渡担保権設定」「質権設定の登録」等が可能です。

プログラムの創作年月日の登録は、創作後6ヶ月以内に申請しなくてはなりません。

また、バージョンアップ版は新規の登録となります。

一方「第一発行(公表)年月日の登録」であれば、古いプログラムでも登録できます。

インターネットで公衆送信された場合でも登録できます。

またプログラムの著作権のパターンとして2社間で、委託開発を行ったような場合には、@開発委託契約 Aプログラム著作権の譲渡の登録 B創作年月日の登録などの権利関係が考えられます。

なおプログラムの登録に固有の添付資料として、申請するプログラムの著作物の複製物を、日本工業規格(A6判マイクロフィツシュ  JIS Z 6001)で作成して提出することになっております。

6.国際間の保護

 著作権に関しては、国際間で、色々な条約が結ばれております。その中で、現在国際ルールに大きな影響を与えているのが、「ベルヌ条約」と「万国著作権条約」の2つであります。わが国は両条約とも締結しております。

 世界の大半の国 (153カ国)が、いずれかを締結しているのが、現状であり、著作権を国境を越えて、これら条約で保護し合っております。

 ベルヌ条約は「内国民待遇」「遡及効」「無方式主義」を柱としております。

同盟国は自国民に与える保護と同等か、それ以上の保護を外国人の著作物に与える、とともに、著作権の享有には、登録や、表示などいかなる方式も必要ない、また原則として条約締結前に創作された著作物も保護する。と言うものです。

 一方万国著作権条約は「内国民待遇」「不遡及」「表示」を柱としております。原則として条約締結後に創作された著作物のみ保護し、保護には、 Copyright を示すCの記号、著作権者名、最初の発行年を表示すれば、無方式主義をとる国の著作物であっても保護を受けることができるというものです。

 なお双方の条約に加盟している場合には、ベルヌ条約が優先適用されます。

つまり、かなり大雑把にまとめると、外国の著作物は、日本にあっては、日本の著作権法で保護される。また日本の著作物も、外国においては、その国の著作権法で保護されると言うことです。

 最後になりますが、書籍をひとつ、ご紹介させて頂きます。

「国際知的財産侵害訴訟の基礎理論」(経済産業調査会) 早稲田大学法学部教授

木棚 照一氏 編著 を書店で見つけて、購入し、読んでおりますが、アメリカ、イギリス、フランス、中国、台湾など、世界各国の訴訟について解説されており大変勉強になります。ご興味のある方はご研究のためにも是非どうぞ。