当事務所は離婚協議書の作成を承っています。 平成17年現在、当事務所では、これを
- 公証人役場さんにお願いする「離婚に伴う給付契約公正証書」
- 上記公正証書に記載できなかった細部についての「明細書(補足書)」
の2つの書類構成としています。
「離婚に伴う給付契約公正証書」では - 親権者・監護者
- 慰謝料
- 財産分与
- 養育費
など主たる項目や金銭給付を伴う項目について取り決めし、強制執行力をもたせます。
一方「明細書」には強制力はなく、あくまでも当事者相互の細部確認を目的として
- 離婚届け提出などの具体的な手続き作業
- 離婚後の母子の戸籍の変更手続き作業
- その他詳細な事項
など、金銭的給付を伴わない事項を中心に、当事者間の約束事を明記しています。 勿論上記は参考例ですので、明細書の(1)項や、(2)項も公正証書の中に記述することも当然可能です。
当事者同士が離婚に関して合意していれば、私共行政書士は以上のような書類作成を承ることができます。
ところで、最近「熟年離婚」と言う言葉を良く耳にしますし、熟年離婚と切り離せない制度として、平成19年4月1日から導入される「年金分割」の制度があります。
その概要を簡単にご紹介しますと、次のとおりまとめられます。
- 最初に平成19年4月1日から実施される制度
- 厚生年金に加入しているサラリーマンの夫と、第3号被保険者である専業主婦の妻が対象となる。
- この夫婦が、平成19年4月1日以降に離婚すると、夫が65歳から受取れる老齢厚生年金を、1/3〜1/2の範囲で分割して、妻が分割分を受取ることができます。
- ただし、分割できるのは婚姻期間中の保険料納付記録です。
- 当事者の合意または裁判所の決定と、社会保険事務所への厚生年金分割の請求が必要です。
- 離婚成立後2年以内に分割請求しないと、分割できなくなります。
- 次に平成20年4月1日以降について
- 厚生年金に加入しているサラリーマンの夫と、第3号被保険者である専業主婦の妻が、平成20年4月1日以降離婚した場合が対象となる。
- この夫婦が、平成20年4月1日以降に離婚すると、夫が65歳から受取れる老齢厚生年金の1/2を第3号被保険者期間のあった妻が、受給できるようになります。分割割合は1/2となり、当事者の合意は不要です。
- 対象となるのは、平成20年4月1日以降の保険料納付記録です。それ以前の保険料納付記録については、第1項同様、当事者の同意または裁判所の決定があれば、同様に1/3〜1/2の範囲で分割可能です。
- なお、この(2)項の分割の場合には離婚以外の理由でも分割可能です。(Ex. 配偶者の所在が長期にわたり不明な場合など。
詳細は別途ご紹介しますが、これらの制度は、年金形成について、配偶者の貢献を認めたと解釈されます。なお老齢基礎年金(国民年金)などは、この年金分割の対象外となっています。
以上記述しました「年金分割」と言う項目が、平成19年4月1日以降は、これまでの「慰謝料」「財産分与」「養育費」などと同じように、「離婚に伴う給付契約公正証書」の中に記載されるようになると考えております。
そして婚姻期間の長い「熟年離婚」にとっては、この項目が大きな比重を持ってくると考えられます。
- 参考文献
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- 実務研修シリーズ「離婚」
- 東京都行政書士会千代田支部 / 行政書士 伊藤令子著
- 知ってトクするあなたの年金
- 高橋書店 年金評論家 / 田中章二著
- 離婚の法律解説
- 一橋出版 / 金井 正元著
- 公正証書の作り方と活用法
- 自由国民社 / 宮崎 好廣著
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